御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
ただ、嫉妬なんかしていられないと思った美月だが、やはりこれはこれ、それはそれ。
キスしているところを思い出し、平常心ではいられなくなったのだ。
「本当に、すまない」
雪成は唇を尖らせる美月の頬を撫で、それから優しくキスをする。
「俺が逆の立場だったら、めちゃくちゃ嫉妬してお前を傷つけるのに……。菜穂のことを聞かれたら、俺がどんなふうに欠陥のある人間なのかと、バレると思って……怖くなった。隠したかった。すまなかった」
そして雪成は美月の手をギュッと包むように握りしめる。
「その……船の上で手術が怖いから俺に付き添ってほしいって言われて。考えさせてくれって答えた。だが結局あいつの屋敷で、菜穂の家族にも頭を下げられて、断りきれなくなった」
「……じゃあ、結婚は?」
「結婚?」
雪成はなんのことだと言わんばかりに眉を寄せる。