御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「だからな……両親は、俺が菜穂の入院に付き添うと聞いて、よりが戻ったと勘違いしたんだ。そして結婚するのかとかなんとか言いだして……菜穂には友人として付き合うだけで、今はいずれ結婚したいと思って付き合っている女性がいると、話したんだ。たぶんそのことだろうな」
「結婚したい女性が……」
なんの意味もなく、雪成の言葉を繰り返す。
「お前だろ」
「……え?」
「だからお前以外に誰がいるんだ」
「えっ、ええっ、わっ、私⁉︎」
あまりの慌てように雪成はふっと笑い、美月の頰に手を乗せ、引き寄せる。
「驚かせるつもりはない。今すぐでなくてもいい。美月が完全に俺を信じられるようになってからでいいから……結婚してくれ」
そして優しく触れる唇は、美月の心に小さな希望の灯を灯す。
(雪成さんのこと……完全に信じられるようになるまでなんて……もうとっくに……そうなのに。信じてるのに。)
だが、キスをする間くらい、黙っていてもいいだろう。
美月は内心そんなことを思いながら、笑い、それからゆっくりと目を閉じた。