御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 身を投げ出すように乞われば、受け入れてしまうのだ。
 そのくせそんな自分に後悔のし通しで、神経をすり減らしている。

 優しさも時には罪だなと、当時は思ったものだ。


 だが、そんな親友が生まれて初めて、自分から強く望んだ相手が美月だ。


 人は自分にないものを求めるという。

 本来の美月は、笑顔が可愛い普通の女の子だった。
 けれど、自分もこんな風に笑えたらいいなと、思えるような笑顔を浮かべるのである。

 きっと雪成はそんな美月に惹かれたのだろう。


「幸せになれよ〜ってか、俺も幸せになりたいわ……」


 窓を開け、見上げなくてもどこまでも広く青い空と海を見つめ、ハジメはハァと、ため息をついた。



【御曹司による失恋秘書の正しい可愛がり方】完結
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