御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
黒髪に黒い瞳。広い肩、厚い胸板に、彫りの深い精悍な顔立ち。そこに貴族的な近寄りがたさと男の色気を足したような男、それがKOTAKAの副社長であり営業本部長の、小鷹雪成(こたかゆきなり)三十二歳である。
「ああ、そうだったな。悪い」
雪成は長い指に挟んだタバコの灰を、美月の持つガラス皿に落とす。
そんなちょっとした仕草さえ優雅で魅力的で、美月はなんとなく落ち着かなくなる。
(タバコを吸うのは会議が終わった後の週に一度くらいだからいいけど……。)
そんなことを考えていると、
「おい、不平不満が顔に出てるぞ」
「むにゅっ……」
タバコを持たない右手で、雪成は美月の顎をつかみ、触感を楽しむようにムニムニと指を動かす。
必然的に美月の唇がアヒルのように尖り、子供のような扱いに、頰が朱に染まった。
「やめてくだしゃっ、」
「ふふっ……餅みたいに柔らかいな」
微笑した雪成は、ひとしきり美月の頬をムニムニ揉んだ後、手を離す。