御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「うちの秘書が何か?」
「……秘書?」
雪成は手早く名刺を取り出して、怪訝そうな滉一に差し出した。
「あっ、恐れ入ります」
滉一も一瞬ビジネスモードになったのか、名刺を受け取り、名刺に視線を走らせると、
「【KOTAKA】の……!」
慌てて自分の名刺を差し出した。
雪成も名刺を儀礼的に受け取りはしたが、
「森田、帰るぞ」
「か、帰るっ……?」
いたっていつものテンションで、美月を見下ろす。
(帰るって……まだ懇親会終わってないのに……? いいの?)
泣きそうになりながらも、ここが仕事の場であることを思い出して、美月は雪成を見上げる。
だが雪成は切れ長の目を細め、美月の心を覗き込むような目で、問いかけた。
「お前はここに残りたいのか?」