御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
そこにはなんの嘘も感じられなかった。
御曹司らしい無邪気さと、しなやかで折れない強さが、今の美月にはとても魅力的に映った。
優しくされたい。甘やかされたい。
心の奥底で、本能が叫んでいる。
この揺らがない強い男に寄りかかれたら、どれだけ心が落ち着くだろう。安心できるだろう。
ズルくて弱い自分が、そうささやくのだ。
けれど同時に、こんな時、余計なお世話だってこの手を振り払える強さを持っているべきじゃないかとも……理性が叫んで。
美月は完全に、身動きが取れない状況になっていた。
「とりあえず俺を試してみろよ……」
そんな美月の迷いの感じとったのか、雪成はささやきながら美月の額に口付ける。
「美月……難しく考えなくていい。俺は唇を噛み締めて泣くのをこらえるお前を一番近くで見てゾクゾクした。守ってやりたいと思った。そしてお前は今ボロボロで、誰かに守られるべきなんだ。お互い利益は一致してる……だろ?」