御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「いや、副社長、あのですね、地元と言いましても、その、あの、私、帰る気はなくて……っていうか、帰りたくなくて東京くんだりまで出てきたわけでして……っ」


 なんとかして地元に近寄ることだけは避けたい美月だが、自分がゴニョゴニョ言ったところで、副社長の耳にキチンと届くはずもなく。


「案内頼んだぞ」


 雪成はさっぱりした口調で言い放つと、美月の持つ小皿の上でタバコの火を消し、自身のエグゼクティブデスクへと向かう。
 

(四国、徳島、鳴門!? 嘘でしょ!?)


 上司のすらりと背筋の伸びた後ろ姿を眺めながら、美月は激しく動揺していた。


(二度と帰るつもりはなかったのに……。なんで……。)


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