御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「ずいぶん美月に喧嘩腰なんだな」
「なっ……!」


 いきなり自分の前に立ちはだかった上等な美男子に、翠子が赤面する。

 そして雪成は、そのまま美月の肩を抱き寄せニッコリと微笑んだ。


「今、彼女は俺と付き合ってる。そして明日には二人で東京に戻ることになってる。君が美月に過敏になる必要はない。安心して彼と婚約したらいい」


 カジュアルなジャケット姿でニッコリ笑っていても、雪成の姿は謎の風格と圧があった。


「なっ、なんなのっ……!」


 そんな雪成に気圧されたように口ごもる翠子だが、
「あっ、コーイチッ!」
パッと顔色を明るくして、手を振った。


「どうした……あっ!」


 どうやらタバコを吸いに外に出ていたらしい滉一が、翠子を見て慌てて駆け寄ってくる。


「コーイチ、なんか私、ムカツくっ! バカにされた!」
「翠子……」


 滉一の胸に飛び込んだ翠子は、涙目で美月と雪成を振り返った。



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