御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「帰ろうか。じゃあお幸せに」
周囲の好奇の視線もなんのその、雪成は堂々と美月の手を引いて居酒屋の出口へと向かう。
「ふふっ、美月ちゃんまたねー!」
そこでトモが嬉しそうに手を振ってきたので、
「ま、またね!」
と、手を振り返して居酒屋を後にした。
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タクシーでヴィラに戻ってすぐ、何事もなかったかのように、キャビネットからブランデーを取り出し、グラスに注ぐ雪成の横顔に、美月は問いかけた。
「あの、雪成さん、滉一君に何て言ったんですか?」
あの瞬間、滉一の顔色が明らかに変わり、強張ったのだ。
きっとなにかすごいことを言ったに違いないと、美月は落ち着かない気分になっていた。