キミが世界で一番嫌い?!
「(やっぱり、素直にシンプルに、『ごめんね』でいいよね。)」
どう謝るかを考え、靴箱へ。
と
「やっだー、早紀ったらぁ♡」
「俺、ほんとの事言っただけだし?
みーんな。すっげーかわいいと思ってるよ?俺♡」
「「「キャーーッ♡」」」
「(・・・・・)」
朝っぱらこの調子かよ。
万年お気楽野郎か、コイツは。
この調子だと、1日中女子に付きまとわれてて、謝る隙ができないと思う。
それに、コイツのノー天気な馬鹿面を見て、正直、謝る気が失せた。
「・・・・・」
私は、知らん振りを決め込み、須佐の前を通り過ぎようとした・・・が。
「あ、おっはよー、工藤ちゃん♪」
「・・・(軽い抵抗)おはよう。」
工藤ちゃん・・・?
本当、何考えてるのよ、コイツ。
昨日のことはもう忘れました、ってか?
「ん?どうした、工藤?
俺の顔、なんかついてる?」
「別に、何もついてないわよ?」
私は、極上の微笑を浮かべるつもりで笑った。
それはもう、嫌味なほどに、にっこりと。
そして、上履きを出し、履き替えると、
「ごきげんよう」
聞こえていたかどうかは不明だが・・・とっさに呟き、玄関を後にした。
「(失敗した!!!)」
しばらく歩き、誰もいないことを確認した上で、普段あまり使われない廊下へと曲がった。
「(失敗した、失敗した、失敗した!!!!)」
何、どうしちゃったのよ、私!
――『ごきげんよう』
誰あれ!何キャラ?お嬢様キャラ?
どうしようどうしよう、動揺しすぎた!!
「あーー、もう、結局謝ってな・・・「何してんの、こんなとこで」
・・・・・・は?
「す、すすす須佐!???」
「どもりすぎだろ。何してんだよ。こっち教室じゃないだろ」
「そんなこと――・・・」
ああ、そうだ、謝らなきゃ。
・・・でも、何だろう・・・グラグラする。視界が、揺れる。
「わ・・かって・・・・る・・わよ―――・・・」
「工藤!!!!」