キミが世界で一番嫌い?!
あ、何だろう。
おでこが、冷たい。気持ちい。
手?誰の?誰の手?大きな・・・
私、どうしたんだろう。
「・・・う、・・・どう?工藤!?」
「・・・んー・・・」
いつもの倍ぐらい重たく感じた瞼を、やっとのことで上げる。
真っ先に視界に入ってきたのは、須佐の顔だった。
「す・・・さ?」
「良かった。大丈夫か?」
天井が見える。次に、真っ白いカーテン。同じく、シーツ。
おでこに置いてあったのは、須佐の手だった。
「ここ・・・私、何で・・・?」
「保健室だよ。お前、あの廊下で倒れて・・・。何で熱あんのに、学校来んだよ。」
「だって・・・私は受験生で・・・勉強、しなくちゃ・・・」
目を開けているのもいっぱいいっぱいな体で、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
それを聞くと、須佐は呆れたようにフ、と笑った。
「待ってろ、今、先生呼んでくっから。」
「須佐・・・」
「うん?」
「昨日は・・・ごめん。
ありが・・・とう・・・。」
「ん。」
須佐は、私の頭に手でポン、と軽くたたくと、保健室を出て行った。
須佐の手は、大きくて、冷たくて、熱を持った体に、心地よかった。
それでも、どこか暖かくて、優しい手だった。



私は、須佐のことが、好きになったのかもしれない。
それは、今はたとえ錯覚だったとしても、いつか、須佐がそんな存在になると良いな、と、私は思った。
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