ラブジャンプ!
「山…口さ…ん」
「こんなとこでどうしたんですか?! 冷えてきたから風邪ひいちゃいますよ?
って、あれ?杏ちゃん一緒じゃないんですか?」
私の視線に合わせるように、しゃがんた山口さんが尋ねる。
「いない…んです… トイレ…行ったっきり、戻って…こなくて…」
涙が出そうになるのを堪えて、山口さんに答えた。
「えぇーっ!!マジすかっ?!! 僕も探しますよ! 待って下さいね、今、手が空いてるスタッフにも声かけてみま…」
「あれぇ? 桃子さん? 何やってんすか?こんなとこで?」
山口さんの後ろに、さっきまでアイドル仕様だった桜木くんが、
いつものジャージを着て現れた。
「杏ちゃんが、いなくなったそうなんだ」
桜木くんへと振り返った山口さんが桜木くんに伝えた。
「マジでっ?!」
桜木くんも座り込んでいる私に合わせしゃがみこんで、私の顔を覗きこんだ。
桜木くんの顔を見た途端、何故か、堪えていた涙がどっと溢れ出てしまった。