ラブジャンプ!
「桃子さん、こんなとこにいたら冷えて風邪ひくから、ひとまずホールの中行こう。」
桜木くんが、私の腕を掴み立ち上がらせようとする…が…
「桜木…くん…ごめ、腰抜け…ちゃった…」
立ち上がろうとするけど、全身に力が入らないのだ。こんなこと、初めてだ。
「桃子さん、ちょっと失礼するよ」
そう言った桜木くんは、私の膝裏に腕を滑りこませ、ひょいと私の身体を抱き上げた。
「えっ!!!」
ひぇーー!!!
コレって、いわゆるお姫様抱っこ、とゆーヤツ?!
うそーー
こんなん初めてだよー!
しかも、相手は、桜木恭輔だよ!?
どうしよう…ファンに殺されるぅ
「さ、さ、桜木くん、私、お、重いから…桜木くんの手、いや、腕が、折れぢゃう」
動揺で、言葉がうまくまわらない。
「大丈夫っす、オレこう見えて鍛えてるからなんともないっすよ」
いやいやいやいや、子供一人産んだし!
運動も何もしてない女性の身体は、いろんなとこにお肉ついてるから軽いはずがないよ!
桜木くんの腕に故障きたしたら私のせいだ。
そんなこと考えているうちホールの入口に着き、そばにあった長椅子へと、私を降ろしてくれた。
「桃子さん、素人が探すには限界がある、警察の力借りた方がいいと思うけど、どうする?」
隣に座った桜木くんが、問い掛けた。
「警察…?」
警察という言葉を聞いた私は、5年前のことが頭に過ぎった。
その時、私のスマホの着信音がホール廊下に鳴り響いた。