ラブジャンプ!
「ん…さん…かぁ…さん…」
杏が呼んでるの?
んー、もぅ…もうちょっと…あと5分…
「かあ…、やめた、桃子!!起きろっ!!」
「えっ?!うわっ、なに?!」
腕を揺すぶられ、名前を呼ばれて気がついた。
まわりを見渡し、目に飛び込んできたのは、うちの部屋の玄関
そして、
見覚えのあるジャージの背中…
私、ジャージの主の桜木くんにお、おんぶされてる…。
「桃子さん、気がつきましたね よかった」
首をこちらに向かせ桜木くんが言う。
「ご、ゴメン!桜木くん!! い、今、降ります!」
恥ずかしさが込み上げ、素早く桜木くんの背中から降りた。
「ゴメンね、重かったでしょ ホント、ゴメンなさい」
申し訳ない気持ちいっぱいで、頭を下げる。
「いえいえ、大丈夫っすよ、それよか、杏ちゃん無事でよかったっす、じゃ、オレはこれで」
「あ、恭輔、もう帰るのか? 茶でも飲んできなよ」
玄関から去ろうとする桜木くんの背中に杏が言った。
「杏ちゃん、今日はもう遅いし、オレ明日早いから帰るよ。
で、杏ちゃん、桃子さんにちゃんと説明して謝るんだよ?」
桜木くんのジャージの裾を右手で掴み、納得がいかないような表情を杏がしている。
それを見た桜木くんは、杏の視線までしゃがみ、杏の瞳をじっとみる。
そして…
「わかったか?マイプリンセス?!」
あるキャラクターのセリフを言った…。
さすがの杏もそれには逆らえないのか、首をコクコクと上下に動かした。
それを見た桜木くんは安心して、杏の頭をひと撫でし、帰っていった。