ラブジャンプ!

杏と敏樹をリビングの中央に正座させ、お説教すること1時間。


杏がホールのトイレに行ってから家に帰った経緯までを
事細かに説明させて、そしてもう二度と心配をかけるようなことをしない、と約束させた。


敏樹にも、いくら秀平の親友だからといって私にことわりもなく勝手に行動しない、と約束させた。


「はぁ…もう、まったく…」


大きなため息しか出ない…。


「私、もう寝るから食べた食器とか片づけておいてよ」


「おい、桃子」


リビングを出ようとすると、敏樹が私を呼ぶ。


「なによ? 私、疲れたから早く寝たいんだけど…」


少しイラつきながら敏樹の方を向く。


「さっきのオトコだけど…なんか、見たことあんだよな…」


腕組みをし、考えながら言う敏樹。


「えー? あぁ、桜木くんのこと? そりゃそうよ、彼、売り出し中の声優だもん。雑誌とかで見たんじゃないの?」


もう! 早く寝たいのに…


「え? あ? へぇー そうなのか? オレ、雑誌見ねぇし、よくわかんねぇな。けど、
どっかで見たんだよなぁ…。どこだっけなー…」


なおも私に問いかける敏樹に、さすがの私もイラついた。


「はぁ?! 私に言われてもわかるわけないじゃないのー!
もー、とにかくもう寝るから!
敏樹、杏、ちゃんと片づけして! 
杏は歯を磨いて寝る! 敏樹は帰る!
以上!」


それだけ言って、さっさと寝室へと向かった。


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この時、敏樹の言ったことが、


後に私と桜木くんの糸を繋ぐきっかけになるなんて…。


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