病床のキス【短編】
「おう、相田。ワザワザありがとな」
「元気そうですね、ジン先輩」

「そりゃあ…左足以外は元気イッパイだからな~、退屈だよ」

 左足のギプスには、沢山の落書きがしてあった。

『早く良くなってネ♥♥』

 水無月アカリのメッセージが、ひときわ大きく描いてある。

「皆、もう来てたんですね…」

「ん?ああ、すぐの時な。そういえば相田は今日初めてだな。冷たいヤツだ」

 ハハハと笑う。
 水無月サンはきっと頻繁に通ってるんだろうな…
 見れば彼女のメッセージは1つじゃない。

 意識しない!
 私はプルプルと首を振った。

「…えっと、そうだ!パソコン。急ぎの修正だって言われて…電源ありますか?」

「ああハイハイ。全く…入院先でも仕事かよ…」

 ブツブツ言いながらも、半身を起こして電源を示す。

 私はベッドのテーブルを倒し、パソコン準備を整えた。

「えっと……どこだっけ?」
「ココです、ココ。現場のアクシデントだそうで……」
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