モノクロ
色のない世界




どこかの誰かはこう言いました。



「人間は一人じゃ生きられない生き物なんだ。」



私はこう返しました。



「くだらない。」



どこかの誰かは綺麗事ばかりで、私にはその言葉の意味が理解出来ない。


それは私がおかしいのか、それともどこかの誰かがおかしいのか。

答えは人それぞれだ。


生きる意味なんて考えたことはない。

なぜ生まれてきたのかなんてどうでもいい。


どこかの誰かはきっと言うだろう。


「生きていることに意味がある。」

「意味を探すために生きている。」



そんなものただの憶測に過ぎない。


神様なんてこの世にはいないの。

神様が人を作ったなんて言うけれど、それはどこかの誰かが吹聴したデタラメだ。


神様が人を作ったのではなく、人が神様を作ったのではないか?


嗚呼、きっとそうだ。


人は虚偽を吹聴するのが好きみたい。

人は綺麗事を好む醜い生き物。


私はどこかの誰かに問いたい。

こんなくだらない世界で汚い空気を吸って生きることにどんな意味があるのかを。


この世に光なんてない。

暗闇もない。

何もない。


足を踏み出す道もなければどこにも行けない。

前にも進めないんだ。


みんなその場に立ち止まっているの。

一歩でも動けば底なし沼に落ちてしまうから。


嗚呼、人間はとても不憫な生き物だ。

誰かを傷付けたとしても自分は気付かないままでいて、自分の欲望だけが満たされればそれでいいと思っている。

人間なんてそんな生き物。


私はあまり人が好きではないの。

何故ならこの世で最も愚かな生き物だから。


「助けて。」


ほら、誰にも聞こえないでしょう?


一歩踏み出せばもう元には戻れない。

ヒーローぶって足を踏み出した者はみんな底なし沼に落ちていく。

私もその一人らしい。


私はこの世の全てを恨みながら存命し、そしてこの世を去るでしょう。


私は色のない世界に落ちていく。





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