番外編 『N』ー甘味で候うー
「ところで、その箱は?」
俺は聞いてみた。


早速聞いてみた。

まさか『ケーキの箱か?』とは聞かなかった。

たぶん明らかにケーキの箱だろうと思われる小箱。仕事の振り分け上、稀にしか街に降りてこれなかった俺が、それでもたまに降りてこれた時にだけ、やっと食べることができた、ケーキ。そうに違いないと思われるその箱、次郎たちがプレゼントされて食べたというケーキの、、

きっとそれだろうと思ったが、まさかそんながつがつしたことを俺が言えるわけがない。

敢えて聞いてみた。



希代香の動きが一瞬、止まった。


「ん?」


顔色が急激に赤くなり始めていた。


「どうした?お前も風邪か?必要ならお前も、、」
俺はトレーに載った箱に手を伸ばそうとした。
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