番外編 『N』ー甘味で候うー
「ケーキ、焼いたの。


よかったら、一花に食べて欲しくて。」


「、、そうか。」

「次郎や郷太に聞いてるかも知れないけど、

今日、それでみんなにもお裾分けで回ってて。

でもね、」

ケーキだと知らされたその小さな赤い箱を前に、俺は不覚にもごくりと喉を鳴らしてしまっていた。
だが話しつづける希代香には幸いにも聞こえていなかったらしい。ほっと安堵した。


「でもね、、」
希代香は目の前で必死に話を続けていた。

俺は平静を装いつつ、内心、胸は高鳴っていた。この間の、夜桜の下で食べたのも美味かっ、、、ぁぁ、そんな場合ではなかったな、
そうだ、今はこのケーキの話でーーー


「ーーなんだけど、、食べてくれる?」







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