番外編 『N』ー甘味で候うー
甘いのは好きじゃない。

「俺のは一花にやるかな。」
さわさわっと緑の木々が揺れた。

彼女が家から出てくるのが見えた。



甘いもの、俺は好きじゃないが、
一花は割と好きらしい。
見掛けと似合わず、、


一は七花に特別な想いを抱いている。
それを自覚してるかどうかはわからないが、、

「いや、自覚はないだろうな。」

俺は立ち上がった。

「何がだ?」
「いや、だから、、」
「何の自覚がないんだ?」

耳元で聞こえた声にやっと鳥肌が立つのを覚えた。
『やば、、』
一花が戻ってきていた。

「お前、いつからここに。」
「今だ。家を出るみたいだぞ。」
「ああ、、今追うところだ。」
一花は頷いた。

「そのまま、護衛を頼む。
俺は少し辺りを警戒してから行く。」

「わかった。」
両手に大きな箱を2つ下げ、家から出て行く彼女が見えた。

『そうだ、ケーキ、』
一花に教えてやろうと振り返ったが、どこに行ったのか、もう姿は見えなかった。

『ほんとに好きなんだろうか?俺の見込み違いか?』

さわさわっと心地よい風が頬を撫でていった。
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