空の青はどこまでも蒼く
あの日から山野君に会うことも、連絡が来ることもなく、1週間が過ぎた。
私の携帯に、山野君の連絡先が入れられていたから、私から連絡することも出来た。
けど、どうしても出来なかった。


たった3日。
たった3日だった。
彼が私に接触してきたのは。


その3日で、彼は私の心をグングンと侵食し、たった3日なのに、私の心は彼でいっぱいになっていた。
元カレに振られたばかりなのに、感傷に浸る間もなく、私は山野君で覆い尽された。


携帯を握り締め、その着信ランプが付かないものかと眺める。
何を期待しているんだろう。
4つも年下の、社内イチ、イケメンが私に言い寄るはずもない。
誰かに私が振られたと聞いて、揶揄っただけなんだ。





私は元カレに振られたその日よりも、声を上げ、嗚咽を洩らし、泣いた。





「どうした?どうした?」


昼休憩、有希と社員食堂でランチ中。
さすがは有希だ。
私の変化に気が付いたらしい。


「元カレに振られた時ですら、そんなに落ち込んでなかったのに、何があった?有希さんに言ってみ?」
「何もないよ。」
「ウソウソ、嘘吐いてもダメだからね。」
「ほんと、何もないんだって。」


言えなかった。
本当のことを、有希にすら言えなかった。


あの夜、山野君が言った言葉。
私はあの言葉に舞い上がってたのかも知れない。


年下だと言うこと。
社内イチ、イケメンだと言うこと。
そんなことは私に関係なかった。


あの日の山野君の言葉に私は何かしらの希望を見てたのかも知れない。



【一人で全部背負い込むなよ。俺には頼れよ。】



強い女だと言われたから。
いつからか、周りからそう見られてたから。
その一言が私に期待を持たせていた。


彼なら私をわかってくれるのかも知れない。
そう勝手に思い込んでいた。





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