空の青はどこまでも蒼く
あ~相談する相手間違った。と思いながらも、祐亮の後について、カフェブースへと移動した。


自販機のドリップされたコーヒーを片手に、スツールに腰を掛けて、一口飲む。


「で?何なんだよ?」


有希と変わらず高校からの付き合いの祐亮に、私は頭が上がらない。
学部は違えど、大学まで一緒に通った仲だ。
酔って終電がなくなれば、寝ている祐亮を叩き起こして迎えに来て貰った。
変な男に言い寄られていると言えば、用心棒にもなってくれた。


そんな祐亮に隠せるはずもない。




「ねぇ、祐亮さ、営業部の山野君って知ってる?」
「あぁ、知ってる。有名だろ、アイツ。」
「何に有名なの?」
「あれだけのイイ男なのによ、女からの誘い全部断ってるらしいぜ。」
「へ~、そうなんだ。」


何故だか心が湧いた。
嬉しさに、高揚感に満たされた心が、一気に弾け出すのがわかった。


「何で?山野と何かあんの?」
「言い寄られてる、って言ったら驚く?」
「驚く、驚く!だって俺ら4つも上だぜ。」


って、ケラケラ笑う祐亮をギロリと睨む。


「えっ・・・マジなの?」
「冗談よっ!!」


祐亮にそう言い放って、私はカフェブースを後にした。
けど、祐亮から情報が得られた。


あれだけのイイ男。
どうして女を作らなかったんだろう?


私に出逢うため?
何だ?それ。笑える。
そんな少女漫画みたいなことがあるわけない。


クククと喉で笑いを噛み締めていたら、ポケットの携帯が振動した。



〈今日、定時上がりですか?〉
〈その予定だけど〉
〈じゃ、エントランスで待ってます〉


最後のメールに返事はしなかった。
彼はきっといつまでも私を待っているだろうから。




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