空の青はどこまでも蒼く
俺に気付かなかった?
亜美は俺に気付かなかったのか?


あー、俺達が別れた時、6歳と10歳だったな。
俺、そんなに変わったのか?


けど、俺は一目で亜美のことはわかった。
変わってなかった。


16年前、別れたままの彼女だった。
もちろん、大人になった彼女は10歳のままの彼女じゃないし、色香だって加わって、さらにイイ女度は上がっていた。


けど、そのいつも泣いて涙を溜めてた大きな目元や、鼻筋の通った鼻、下唇が分厚い口元なんかは全く変わってなかった。


俺、名前、言ったよな?
聞えなかったのか?



営業部のフロアに辿り着くまでの間、考えるのは亜美のことばかりで。


彼女の視線はしっかり俺を捕えてた。
俺を視界に入れて、認識して、俺から顔を逸らした。
意識的にではなくても、全く知らない、自分には関係のない人物だと言う態度だった。


どうしてだ?
どうして亜美は俺のことがわからない?


しかも俺に追い打ちを掛けるような話が耳に入って来た。


「今度、企画部と飲み会あるんだけど、山野行く?」
「企画部!?行く行く!石田さん来るのか?」
「石田さん?・・・あぁ、あの綺麗な人ね。あの人は来ないよ。彼氏持ち。」





鈍器で殴られた様な衝撃を受けた。




もちろん、俺と別れてから、俺だけを想って、誰とも付き合ってないとは思ってはいなかった。
けど、こっちに帰って来て、俺と会える環境になってから、お互いすれ違いで会えてなかっただけだと思ってた。


大学はこっちで通ってただろうから、7年は恋人は居ないんじゃないかって勝手に思い込んでた。
バカだな・・・・・俺・・・・・

< 39 / 67 >

この作品をシェア

pagetop