空の青はどこまでも蒼く
「おばさま・・・・・」
「有希ちゃん、亜美は?」
「こちらです。さっき、会社で倒れて。どうやらもう何週間もちゃんとした食事してなかったみたいで。」
「どうして?どうしてこんなになるまで・・・」


亜美のおば様に電話を入れ、病院に駆けつけて貰った。
亜美は高校を卒業してから実家を離れ、一人暮らししている。



亜美と山野君が別れたと噂が流れたあの日から、亜美の様子が目に見えておかしいのはわかっていた。
遠山君と別れた時はここまで落ち込まなかった。
反対にあっけらかんとしていた亜美に驚いたくらいだ。


山野君とは付き合ってない。
そう亜美は言ってた。
なのに、彼から離れた今、亜美は憔悴しきっていて見ているこっちが辛くなったくらいだ。


栄養剤と安定剤を点滴して貰って、亜美はぐっすり寝ている。
ここまで祐亮が車で運んでくれた。


「おばさま・・・少し良いですか?」


亜美は山野君と親しくなってから、そして別れたと噂が流れてからも、彼との記憶に悩んでいた。
記憶の端、山野君が居るはずなんだと。
けど、自分の記憶の断片に彼は居ない。


その矛盾が亜美を悩ませ、ここまで精神を追い詰めた。
私はその亜美の記憶の欠落は亜美の幼少期にあるんじゃないかって思ってた。



「どうしたの?有希ちゃん・・・」
「あの、亜美のことなんですけど。おば様、山野将樹って方知ってますか?」


山野君の名前を出した時のおば様の顔を私は忘れられない。






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