空の青はどこまでも蒼く
「おばさん、ゆっくりで良いんで話して貰えますか?」
祐亮はこういう時は役に立つ。
誰よりもしっかりしていて冷静だ。
「亜美が中学3年までアメリカに居たのは知ってるわよね?」
もちろん知っている。
高校で初めて亜美に声を掛けた私はびっくりした。
片言の日本語を話す日本人。
それが亜美の第一印象だ。
「はい、知ってます。俺も有希もそのことは。」
「アメリカに行くまでね、家族ぐるみでお付き合いしていた家族が居てね。お隣に住んでたんだけど。そこにね、4つ下の男のお子さんが居たの。」
おば様の話に私の心臓はその先を想像して鼓動がどんどん早くなっていく。
「【やまのまさき】君って言うの、その子。」
やっぱりだ。
やはり亜美の記憶の中の山野君は居た。
どうして欠落したのかはわからないけど、亜美の中に山野君はしっかりと居た。
「亜美よりも4つも年下なのにね、まさき君、とってもしっかりしていてね。亜美は小さい頃泣き虫でね。毎日泣いてたのよ。けど、まさき君が『だいじょうだよ。』『なかないで。』そう言えば亜美はピタリと泣き止んだの。いくら私が大丈夫って言っても泣き止まないのにね。それくらい依存してたのよ、まさき君に。」
おば様は窓の外を遠く眺めて、遠いあの日に戻って行った。
「二人はお互いがお互いに必要としていてね、けどそれもちゃんと二人の中で均衡を保っていたから、その時は良かったのよ。それなのに、私達がアメリカに引っ越すことになったあの瞬間からね。亜美は壊れて行ったのよ。」
幼い二人にアメリカは遠すぎる。
親の転勤に歯向かうにも幼過ぎる。
きっと二人はどうにもならない運命に壊されてしまったんだ。
「最後に楽しい思い出を作りましょって言って、山野さんのところと水族館に行ったのよ。そこで亜美、まさき君から何か貰ってたわ。そしてまさき君は空を指差して亜美に何か言ったの。そしたら亜美、飛び切りの笑顔を見せてね。私達も大丈夫だって思ってたのよ。けど、それは違った。」
幼い亜美の心は一度は山野君に救われた。
けど、異国の地で、唯一の亜美の心の支えの彼の居ない生活に、亜美の心は壊れて行ったんだろう。
祐亮はこういう時は役に立つ。
誰よりもしっかりしていて冷静だ。
「亜美が中学3年までアメリカに居たのは知ってるわよね?」
もちろん知っている。
高校で初めて亜美に声を掛けた私はびっくりした。
片言の日本語を話す日本人。
それが亜美の第一印象だ。
「はい、知ってます。俺も有希もそのことは。」
「アメリカに行くまでね、家族ぐるみでお付き合いしていた家族が居てね。お隣に住んでたんだけど。そこにね、4つ下の男のお子さんが居たの。」
おば様の話に私の心臓はその先を想像して鼓動がどんどん早くなっていく。
「【やまのまさき】君って言うの、その子。」
やっぱりだ。
やはり亜美の記憶の中の山野君は居た。
どうして欠落したのかはわからないけど、亜美の中に山野君はしっかりと居た。
「亜美よりも4つも年下なのにね、まさき君、とってもしっかりしていてね。亜美は小さい頃泣き虫でね。毎日泣いてたのよ。けど、まさき君が『だいじょうだよ。』『なかないで。』そう言えば亜美はピタリと泣き止んだの。いくら私が大丈夫って言っても泣き止まないのにね。それくらい依存してたのよ、まさき君に。」
おば様は窓の外を遠く眺めて、遠いあの日に戻って行った。
「二人はお互いがお互いに必要としていてね、けどそれもちゃんと二人の中で均衡を保っていたから、その時は良かったのよ。それなのに、私達がアメリカに引っ越すことになったあの瞬間からね。亜美は壊れて行ったのよ。」
幼い二人にアメリカは遠すぎる。
親の転勤に歯向かうにも幼過ぎる。
きっと二人はどうにもならない運命に壊されてしまったんだ。
「最後に楽しい思い出を作りましょって言って、山野さんのところと水族館に行ったのよ。そこで亜美、まさき君から何か貰ってたわ。そしてまさき君は空を指差して亜美に何か言ったの。そしたら亜美、飛び切りの笑顔を見せてね。私達も大丈夫だって思ってたのよ。けど、それは違った。」
幼い亜美の心は一度は山野君に救われた。
けど、異国の地で、唯一の亜美の心の支えの彼の居ない生活に、亜美の心は壊れて行ったんだろう。