空の青はどこまでも蒼く
きっと亜美は今の俺を受け入れるだろ。
このまま俺が強引に彼女に迫れば、彼女はいとも簡単に堕ちるだろう。


けど、俺の心が、それは違うと叫んでた。
18年を経て再会した俺達。
そこからが出逢いで、そこからをスタートラインとして始めても良かったんだ。


けど、俺の心はそれを拒絶し、少しずつ少しずつ、壊れてった。


亜美が俺に笑いかける度、屈託ない笑顔を俺に向ける度、俺は張り付けた笑顔しか出来なくなっていった。


どうしてお前の中から俺は消えたんだ?
お前にとって、俺は、俺の存在はそんなちっぽけなモノだったのか?


手を変え品を変え、俺はお前に俺と言う存在を匂わすも、全く思い出す素振りすらない。
アメリカに行ってからのお前に、いったい何があったんだ?



あれだけ泣き虫だったお前が、再会した時にはそんな感じは一切なかった。
反対に凛とした姿に、強い女を感じさせた。
容姿は亜美そのものだったが、中身は全く違ってた。


泣き虫亜美は、そこにはもう居なかった。



会いたい。
俺のことを覚えている亜美に会いたい。
日に日に募るその想いは俺の心を少しずつ、少しずつ、剥ぎ取っていった。



亜美の笑った顔を見ているのも辛くなったあの日。
最後の俺の希望を込めて、俺達が別れたあの日、俺のことを忘れないでと誓ったあの日。
透き通るような蒼空の下で、お互い笑いながら別れたあの場所に、俺は一縷の望みを託して亜美を連れて行った。

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