空の青はどこまでも蒼く
有希と浴びる程お酒を飲んで、帰路に着いた。
明日、会社が休みでもないのに、よくここまで飲めたな思う程、飲んだ。
飲んで飲んで飲んで、忘れたかったんだ。

けど、私は山野君のせいで、ちっとも酔えなかった。
山野君のせいで・・・・・


すっかり元カレのことは忘れていた。
考えるのは山野君のことばかりで、私の頭の中から、昨日振られたばかりの彼のことは、これっぽっちもなかった。


家に帰って、お風呂に入る。
たっぷりのお湯を張った浴槽に顎が濡れる程浸かる。
湯の温かさに身体を任せ、今日あったことを回らない頭で考える。


そう言えば、どうして山野君は私の名前を知っていたんだろう?
私は営業部に顔を出すことはあっても、彼との面識は一切なかった。

エレベーターの中、はっきりと呼ばれた苗字。
彼は私のことを知ってることは確か。
私はどこで彼と会ったのだろうか?


彼はどうして私を知っているのだろうか?



風呂から上がり、夜風に当たる。
昨日、あんなにも手酷く振られたと言うのに、今は何故だか気持ちは落ち着いていた。


今日、あんなことがあったからだろうか?
彼はいったい何者で、何を考えているんだろう。


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