空の青はどこまでも蒼く
「山野君、どうして亜美に近づいたの?」
近づいた?
その言葉はあの時の俺には合わない。
亜美を探してた。
そして、その探していた亜美を見つけた。
ただ、それだけのこと。
「近づいたわけじゃないですよ。」
「だよね。探してた、そうでしょ?」
松下さんの言葉に驚きを隠せない。
どうしてわかったのか?
何を根拠にそう思ったのか?
「亜美のおば様から聞いたのよ。お隣さんの、やまのまさき君。」
おばさんは俺のことを覚えてくれてんだ。
じゃ、どうして亜美は俺を忘れてんだ?
「山野君、君もツラい思いをしたんだよね。けどね、亜美もね、とってもツラい思いをしたんだよ。」
松下さんの話に俺は息を呑む。
何やってんだ、俺。
亜美がそんなにもツラい思いをして、生きて来たのに、それを理解しようともせず、自分の気持ちを保つために、亜美から離れただなんて。
亜美のおばさんに会って、亜美のことを聞けば、こんなことすぐに分かったことなのに。
俺、ほんと何やってんだよ。
俺は顔を両手で覆い、手の端から零れ落ちる雫を二人に気付かれないように、天を仰いだ。
胸が締め付けられた。
松下さんの話に、俺の胸は痛い程、激しく打ち付けられ、震えた。