永すぎた春に終止符を
カーテンの隙間から光が漏れていた。梨沙は手を伸ばしてカーテンを開けようとしたけれど、横からすっと伸びて来た腕に引き戻されて身動きが出来なくなった。
梨沙は、カーテンを開けようと思っただけなのにと抗議しようと思ったが、彼女が口を開く前に、恋人に口を塞がれて、何も言えなくなった。梨沙の耳にはキスの合間の、荒々しい彼の声だけが聞こえてくる。梨沙も、彼が体を話した合間に両方の肺一杯に息を吸い込もうとするけれど、すぐに塞がれて呼吸が苦しくなる。
「だめ、拓海離して。苦しい」彼は、一呼吸おいて笑うだけで、やめようとはしない。
梨沙は、何とかして恋人から逃れようとするけれど、抵抗すればするほど引き戻されて、動けなくなる。
「だめだって。どこにも行くなって」梨沙は、心地よい場所へ引きずり込まれていく。そのうちにどうでも良くなって、いつの間にか眠ってしまう。
論文の目途が立った。連絡が来て梨沙は彼に会いに行った。拓海は梨沙の小さな体を抱きしめて話さない。彼が眠っている梨沙にキスをした。
「うう…」
梨沙は、深い眠りから、いきなり体を揺らされて不機嫌そうに寝返りを打った。
普段から梨沙の寝覚めは、あまりいいほうではない。
「ん…拓海…今、何時?」
「もう、陽は昇ってるよ」
梨沙は、まだ半分眠ったままで言う。