永すぎた春に終止符を
「拓海…いいわけないでしょう…
どうして私の為に…」
「君だけのためじゃないっていっただろう。一人きりの部屋に帰るのが、どれだけ辛かったか。
君は本当に俺のこと見限って、とっくに別の男に、気持ちが傾いてるんじゃないかって、どれほど不安だったか」
彼は、ほとんど触れないくらいに大事に、そっと私を抱きしめる。
「君も俺のことが大切って腹を決めて、友達や会社の同僚にも、ちゃんと自分の気持ちを伝えて。
嫌われ役もやってもらわないと困るよ」
「友達って、あっ、里美はどうしてるの?」
拓海はため息をついて言う。
「予想つくと思うけど、君が怪我したのは、全部自分のせいだって悲嘆にくれてる。連絡すれば、すぐ来ると思うから、慰めてやって」
「わかった」
「ひどい怪我…俺に会いに来るつもりでこんなことになったんだろう?」
「ええ」
「じゃあ、君の面倒は、俺が一生面倒見なきゃ。その怪我が直ったあともね」