永すぎた春に終止符を
「ごめん」梨沙は声に出してもう一度謝る。
「何で私に、謝るのよ」
里美が答える。
「彼は、里美にとっても大切な友人だから」
里美が、心配して聞いてくる。
「どうして?そんなことになったのよ?この間まで、あなた逹、うまく行ってると思ってたけど」
梨沙は、出来るだけ前向きな理由を考えた。
「彼のことは応援したい。
でも…そばにいて彼の手を煩わせるような、重い女にはなりたくないの」
拓海が、梨沙との将来を考えているのではなく、研究のことしか、頭の中にないと里美に話した。
「バカね、そんなのあいつにそう言わないと分からないよ。私に言ったみたいに、拓海にもはっきり言ったら?」
「言ったよ。結婚のこと考えてるって…そしたら…今は…ないって…先のことだって」
言葉にすると、気分が落ち込む。現実にそうなんだ、とはっきり言われたみたいで…
「ちゃんと、伝わるように言った?本気で思ってるって、伝えないと…拓海、分かってないって」里美が慰めてくれる。