永すぎた春に終止符を
「里美にも、分かるでしょ?拓海が普段から、いろいろ考えてものを言うタイプじゃないって。ふと、もらした言葉が本心なのよ。しつこく聞き返したら、何かあると気がつくわ…」
「まあ、そういうとこ、単純だから…」
「段々苦しくなるの」
好きだって思えば思うほど、重い女になってくのが。
「そんなことあいつだって、ちゃんと分かってるよ」
「ん…」
まっすぐ理想に向かって伸びてる木を、どうでもいい現実の為に曲げたくない。拓海だって自分の行きたいように進みたいに決まってる。
「クリスマスツリーみたいなんだもん。そのままにしておけば、真っ直ぐ大きな木になったのに、切ってしまえば飾り立てられて、最後には燃やされてしまうの」
「梨沙、ツリーに使うような木は、間伐材だから、大きくなることなく、そのうち切られる運命なのよ」
「もう…里美は、すぐそんなふうに言うんだから…」
「梨沙、あのね、あいつそんなに弱くないよ。ちゃんと話し合いなよ。ちゃんとわかってくれるから。だから…彼と話し合って…
それにね、私は…拓海よりも梨沙の味方だから。ずっとね」
「ん、ありがとう。里美」
ありがとう。本当に心強いよ。