永すぎた春に終止符を
「分かったよ。籍くらい…入れたいなら、入れればいいだろう」

拓海は、そんなにうるさく言うなら、仕方ない言う通りにしてやるって顔で言う…
梨沙の気持ちは、さらに暗くなる。


少なくとも梨沙の中では結婚って、片方が仕方なくしてやるものではない。


「ねえ…拓海、自分の立場が不安定で、先が見通せないのは嫌なんでしょ?それなのに、無理したって、長くは続かないよ」
それが、心から言ってくれた言葉なら、本当に嬉しいのに。


「だからって、別れなくても…いいだろう?」
拓海はそんなこと、たいした問題じゃないって言う。


「だめ。拓海、私の気持ちは変わらない。
だから、自分の考えを無理に何とかしようって思わないで」

今なら、一人に戻っても大丈夫そうだ。
一人で大丈夫かどうか。自信はないけど。

あなたがいなくても…
でも、この先は…どうなるか分からないけど。


「梨沙、分かったよ。これからは、ちゃんと考えるから…頼むから早まるな」

やっぱり、拓海は、決断を先送りする気ね。
ても、今度は、そうは行かない。


「拓海…それじゃ、今までと変らない。」


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