永すぎた春に終止符を


「牧山さん!ちょっと待って…」

「安田さん?」
営業企画部の人だ。走って私を追いかけてくる。梨沙のほうも歩み寄った。


「ごめん…もう一件あった」
安田さんは息を切らしてやって来て、はあっと息をついた。

梨沙は、笑いかけながら、走らなくても大丈夫ですよと声をかけた。


「これ出しに行ったら、やっておきますから、私のデスクに置いて下さい。
…大丈夫ですか?安田さん」

フロアからエレベータホールまで数十メートル。これで息切れとは、少々運動不足だ。


「ありがとう…ごめん、あまり運動してないものだから」

安田さんは、何か言いたそうに梨沙の顔を見つめてる。梨沙も、彼が何かいい出すのを待ったけど、彼はただ梨沙の顔を見つめているだけで何も言わない。

「あの…ゆっくり息を整えてから戻ってくださいね。それじゃ、失礼します」
と断って次の事を考えてた。

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