永すぎた春に終止符を
「よかった。せっかくああいう集まりに出たのに、席が離れちゃったら、無駄足になるところだったな」安田さんは、ああいう集まりを面倒くさいものっていうニュアンスでいった。
「無駄足って、何の話ですか?」
彼の話の目的が何だか、まったくわからない。
「はっきりいったほうがいい?」
ビールを美味しそうに飲みながら梨沙のほうに顔を向けてきた。
安田さんは、梨沙の表情から話の中身を理解していないと思ったみたいだ。
「はい。出来れば…お願いします」
「じゃあ、今日の飲み会に出た目的は、君の連絡先を聞いて、次に君と会う約束を取り付けること。そのつもりで来て、いい感じになってたのに、いらん邪魔がはいったな。でもいいや、最後はこうして2人だけになれたから。よかった」
「安田さん、からかわないでください…」
あっさり言われると本気なのかどうなのかわからなくなる。
安田さんは、私より3つくらい年上。拓海といるときと違って、私が考えてることを読み取ろうとしてくれる。体を動かすよりも、知的な趣味のために休日を過ごしていそう。