永すぎた春に終止符を

「里美…」
電話は、友達の里美からだった。

ー遅かったのね。さっきからずっと掛けてたのよ。


「ごめん…会社で飲み会があって、今帰って来たの」
心拍数が上がったままだ。呼吸が整わない。里美に気づかれたら、どうしよう。


ーそう。それでね。梨沙、明日仕事休みでしょう?だから、明日うちに来ない?


「ごめん…明日は空いてないんだ」
たった今、埋まったから。


ーそっか。じゃあ、日曜日だね。昼前に、家に来てよ。

休みの日には、私の部屋か里美の部屋で過ごして、用事があると夕方からお互いのデートの相手のところに行く。そんなのを月に何度かしていた。

拓海が相手の時は、里美は、私に聞く前に拓海に予定を聞いてからにする。
同じ大学の構内で、私に確認を取るより巧みに取ったほうが早い。

土日が休める私より、拓海のスケジュールの方が、埋まってることが多いからだ。

でも、拓海が相手じゃなければ…予定も変わってくる。


「ごめん…もう少し遅くてもいい?」

何となく…明日は、遅くなると決まった訳じゃないけど…

―日曜日も用事があるの?泊まりとか?

「違うよ。そういうわけじゃないの。昼ごろまで片付けとか、洗濯とかしたいから。
ほら、土曜日出掛けるから、日曜日は家でいろいろすることがあるだけ」


―昼までに十分終わらないかな?

「だから…えっと、わかった。早く終わったら連絡する」



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