永すぎた春に終止符を
ーそっか。わかった。ねえ梨沙?拓海どうしてるか、気にならない?
「気になるわよ。でも、聞かない」
気にならない訳がないけど、別れた以上、彼のことに首を突っ込むのはよくない。
拓海…まだ好きな人、出来たりしないのかなと思う。
私が何か言う資格なんかないんだけど。
ーふ~ん。そろそろ許してあげたら?拓海、梨沙と離れて、だいぶこたえてるよ。
「里美…何度も言ったはず。私達、もう別れてるから、許すとか、そういううのじゃないの」
ー梨沙…だとすれば、ちゃんとあいつと話し合わなきゃ。
「話すのは、構わないよ。拓海が話したいなら、いつでも応じる。でも、気持ちは変わらない。
里美、それに明日はデートなの。同じ会社の人と。だからもう戻れない。拓海にも、そう伝えて」
ー梨沙、二人とも意地はってどうするのよ。
「意地張ってるんじゃないって」
ーまったく…二人とも、何やってるのか…
里美との電話中に、私は、ベッドに潜りこんで話をしていた。
電話を切ってからも、こんなふうに学生の頃から話してたなと思い出した。
私は、スケジュール表を見る。
予定があるって、いいことだと思う。拓海といた時だって、出掛けたけど。
出掛けたと言っても、近くに買い物にいくくらいだ。
拓海と会わなくなってから、近所に買い物すら行かなくなった。
正直言って、何か食べたいと言う欲求が無くなったし、それ以外の欲求は、さらに乏しく、無くなってしまったかのようになってる。
いくら元気でいるように見せても、拓海がいないことの落胆は大きい。
そんなこと考えてたら、うとうとしながら、朝を迎えた。