永すぎた春に終止符を
「いえ…そんな女性の買い物に付き合ってくれる男性なんて、私の周りにいなかったから…」
「本当に?俺は妹がいたから、しょっちゅう母と妹に付き合わされてたよ。
だから、結構慣れてるかな。
それに、好きな人に付き合うのは、なんだって楽しいよ。
君が、俺好みの服に着替えて試着室から出てくるのを見るのはね」
「えっと…」
何をさせる気だろう…
「着替えて…早く。じゃないと…」
保田さんに連れられて、ファッションビルにきた。
レディースファッションのフロアで、エスカレーターを降りると、春の花が咲いたみたいに華やかな洋服が並び、どの店の服にも目を引かれた。
「どれがいいって希望ある?」
「えっと、いつもは…」
「うん、学生が着てるのみたいな、カジュアルなものばかり選ぶよね。だから、今日は可愛い女性らしいもの選ぶよ。はっきりいって俺が着せたいもの」
「はい」
俺が着せたいもの…
拓海に言われたら、いかがわしいランジェリーだと思うけど…話の流れからすると…それはないよね。
相手は、保田さんだし。
エロ魔王じゃないし。
「こっち来て」