永すぎた春に終止符を
時間が経つのも忘れ、食事をするのも忘れ、私は拓海に抱かれた余韻の中にいた。
拓海の体に抱かれているように感じる。
拓海が好き。
彼の言う通りそこを変える事は出来ない。
でも…拓海は?
いつまでも私のことを好きでいてくれるとは限らない。
拓海を好きでいることは、子供の頃から欲しかった、女性として当然、手に入ると思ってたものを、あきらめなきゃいけないかもしれない。
私は、そこまで拓海が好きなんだろうか。
自分の希望を全部あきらめるまで。
やっぱり、離れるなんて無理なんだだろうか。
拓海が近くにいない時は、忘れることが出来ると思う。
髪をいじられるのも、優しくなぞるようにキスをされるのも好き。
でも、そんなのは別の人が現れれば、忘れると思った。
でも、時どきこうして、彼は自分の痕跡を残し、私をつなぎとめようとしてる。
何で?
拓海の言う通り、好きって気持ちを曲げてまで、彼と離れる必要はないかも知れない。
でも、いつかは拓海の方から、別れたいって言いだした時が来たら?
私は、一人で大丈夫だろうか?