永すぎた春に終止符を
「まだ、仲直りしてないんだって。拓海悩んでたよ」
「どれがいい?」
私は、チュウハイの缶を並べ直して里美に聞いた。
「梨沙…」
里美は、一番近くにあったのを一つ選ぶ。
「そのうち、忘れるよ。プルタブを引いて一口飲む」
「冷たいのね。もう許してあげたら」
拓海に同情的になってるんだ。別れるっていい出したの私の方だからね…
「許すも許さないも、拓海のこと怒ってる訳じゃないの」
もちろん、飽きたわけでも、気まずくなった訳でもない。
「だったら、元に戻って…」
「里美…もう、戻れない。
私は、拓海と違う人生を送る。
拓海にも伝えて。もう動き出しちゃった。私は、もう別の人との人生を考えてる。拓海と別れたはずだって」