永すぎた春に終止符を
数日経って、梨沙も様子を見たけれど、変化はなかった。
幾美さんは相変わらず忙しそうにやっているけれど、「何かしましょうか?」と言ってもここはいいから、早く帰りなさいと言われてしまう。
自分は、幾美さんに信用されていないのかも知れない。梨沙はそう思った。仕事を増やして下さいと言えば、幾美さんが、そうしてくれると思っていたのに。
庶務課の課長も、あてにできなかった。課長にもそれとなく相談してみたけど、幾美さんに聞いて欲しいと言われて終わってしまった。課長は、幾美さんの言う通り仕事をしていれば、よくやってくれてるねと褒めてくれる。
そのことを里美に相談した。梨沙は学生の頃から里美を頼っていた。梨沙が自分の手に負えなくなり、頭がぐちゃぐちゃになって、どうにもならなくなると、里美に相談する。
そうするときれいに整理されファイリングして答えを返してくれる。里美は理系肌で理路整然と梨沙の頭の中まで整理して分かりやすくしてくれる。
「それは、飼い殺しよ」そして彼女は容赦ない。
「飼い殺しってなに?」里美はため息をつきながら教えてくれた。
「後輩に仕事取られないように、がっちり握ってるのよ。梨沙に仕事取られたら、その人仕事無くなるじゃないの」
「そうかな。幾美さんはそんなに意地悪じゃないと思うけど」
「梨沙ったら、人を疑うってことしないものね。でも、そういうの、おかしいなって思ったことないの?」
「うん。幾美さんは、いい先輩だよ。彼女の言う通りにしてたら、問題ないもの」
「どうして、そんなこと気になりだしたの?普段、全然考えないくせに。仕事一生懸命にしようと思ったとか?」
「そうね。もし、一人で生きてくことになったら、仕事が出来ないと困るもの」
「どうして、一人で生きてくのよ。あんたには、拓海がいるでしょう?」
「いるけど。もしもの時よ。もし彼が、一人で生きていきたいって言ったら、私、彼とは別に生きていかなければならないんだもの」
「あのねえ。なに訳が分からない事で悩んでるのよ」
「訳が分からないわけじゃないよ。全くないって事ないもん」
「あほらしい。拓海と別れる事考えるなら、もう少し彼のこと支えてあげれば?」
「うん」
「心配することないでしょう?あれだけ梨沙梨沙って、言ってるんだもん}
幾美さんは相変わらず忙しそうにやっているけれど、「何かしましょうか?」と言ってもここはいいから、早く帰りなさいと言われてしまう。
自分は、幾美さんに信用されていないのかも知れない。梨沙はそう思った。仕事を増やして下さいと言えば、幾美さんが、そうしてくれると思っていたのに。
庶務課の課長も、あてにできなかった。課長にもそれとなく相談してみたけど、幾美さんに聞いて欲しいと言われて終わってしまった。課長は、幾美さんの言う通り仕事をしていれば、よくやってくれてるねと褒めてくれる。
そのことを里美に相談した。梨沙は学生の頃から里美を頼っていた。梨沙が自分の手に負えなくなり、頭がぐちゃぐちゃになって、どうにもならなくなると、里美に相談する。
そうするときれいに整理されファイリングして答えを返してくれる。里美は理系肌で理路整然と梨沙の頭の中まで整理して分かりやすくしてくれる。
「それは、飼い殺しよ」そして彼女は容赦ない。
「飼い殺しってなに?」里美はため息をつきながら教えてくれた。
「後輩に仕事取られないように、がっちり握ってるのよ。梨沙に仕事取られたら、その人仕事無くなるじゃないの」
「そうかな。幾美さんはそんなに意地悪じゃないと思うけど」
「梨沙ったら、人を疑うってことしないものね。でも、そういうの、おかしいなって思ったことないの?」
「うん。幾美さんは、いい先輩だよ。彼女の言う通りにしてたら、問題ないもの」
「どうして、そんなこと気になりだしたの?普段、全然考えないくせに。仕事一生懸命にしようと思ったとか?」
「そうね。もし、一人で生きてくことになったら、仕事が出来ないと困るもの」
「どうして、一人で生きてくのよ。あんたには、拓海がいるでしょう?」
「いるけど。もしもの時よ。もし彼が、一人で生きていきたいって言ったら、私、彼とは別に生きていかなければならないんだもの」
「あのねえ。なに訳が分からない事で悩んでるのよ」
「訳が分からないわけじゃないよ。全くないって事ないもん」
「あほらしい。拓海と別れる事考えるなら、もう少し彼のこと支えてあげれば?」
「うん」
「心配することないでしょう?あれだけ梨沙梨沙って、言ってるんだもん}