キスのお相手は!?
『もういいよ。』






田嶋くんが素っ気なく言って私は呆れられた?と慌てた。






「待って!私……んっ…」






勢いよく押し付けられた唇。




腰に回された手と柔らかい唇の感触。そしてタバコのにおいのするキス。






ああ…昨日と同じ感触だと実感して身震いしてしまう。








だけど…ほのかに香る香水とにおいだけが昨日の記憶と一致してくれない。






『…これで思い出した?』






口をちょっとだけ離して、息の吹きかかる距離で聞いてくる。
そして私の耳元を指でなぞり、落としたはずのコサージュを拾ってきてくれたのか、もとある位置につけ直してくれた。



その仕草にドキドキしながら、私は聞いてみる。






「香りが違うのは何で?。」







尋ねる私に少し驚いた顔をして、柔らかく笑った。






『…なんだ。ちゃんと昨日の事覚えてくれてるじゃん。
昨日はバイトの後で汗くさいかもって思って、バイト先のダチが持ってる香水借りたんだ。』






そうだったんだ。その香りがたまたま義彦と一緒だったから私、義彦かもと勘違いしちゃったんだね。







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