さくら色した君が好き
「それも?」

「え?どれ?」

山村君は私の耳からイヤホンを外し、片方を自分の耳に入れる。
いや
それ……私のイヤホン。
胸の奥で
なぜか芽生えるキュンキュン感。
ん?どうした私。

「この曲俺も好き、真駒内で一曲目にやった」

「真駒内行ったの?」

行ったのかコイツ。
なんてうらやましいんだ。

「当然。加藤は行かなかったの?最高だったよ」

山村君は私の名前を加藤と呼んだ。
私の名前
知ってたんだ。

「売れてるんだけど周りにCatch Looksのファンいなくてさ、寂しかったんだわ」

「あーわかるわかる。アニメの主題歌になった曲は知られてるけど、他の曲は知らないって人が多いもんね。他の曲も売れてるし、アルバムもチャート入ってるんだけどさ」

「大阪城ホールをいっぱいにするバンドなのにね」

「そーそー」

私にイヤホンを返して山村君はうなずく。
クールで怖いイメージだったけど
普通な感じ?

でも近くで見ると
綺麗な顔してる。肌が綺麗。
ニベア使ってんのかな。

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