さくら色した君が好き
夜
自分の部屋でヘッドホンを耳にかけ
山村君からもらったミンティアを手のひらにのせる。
半分くらい残ってるね。
【お返し待ってる】は、どうすればいいのかな。
同じミンティアを買って返せばいいのかな。
振るとサクサクって音がする。
もったいなくて
食べれない。
え?なんだこの感情は!
いかん。いかん。
首を横にブンブン振ってると、頭が急に軽くなり音楽が遠ざかる。
「紅葉、それ辛いから嫌いでしょ。どうしたの?」
いつの間にか部屋に入って来た胡桃が、私の耳からヘッドホンを外しミンティアを指さす。
「うわぁビックリした」
私は慌ててミンティアを机の引き出しに入れ、両手で押さえながら胡桃の顔を見る。
「私カルピス味持ってるから、交換してあげようか」
「いやっ……いいの。テスト勉強の時に食べようと思ってたから、どうしたの?」
あー焦った。
胡桃はカンがいいから怖い。
「CD借りようと思ってた」
「いいよ」
双子だけど音楽の趣味がゼンゼン違う私達。
「Catch Looksの、一番新しいアルバム貸して」
胡桃は私のベッドに腰を下ろし
ごくごく普通にそう言った。
Catch Looks?胡桃が?