さくら色した君が好き
いやいやいや。
あれだけ
私が推してんのに『うるさいだけ』ってガンガン否定していたじゃん。
不思議そうな顔してたら
「山村君が好きなんだって。紅葉はずっと前から知ってたんでしょう。どうして教えてくれないの?」
頬を可愛くふくらませて私に抗議。
「大した情報じゃないから」
「えーっ大きな情報だよ」
私はノロノロと立ち上がりCDを一枚選んで胡桃に渡す。
「なんかジャケット……ダサい」
「じゃ貸さない」
「いじわる紅葉。山村君が好きなら聴いてみる。今日、生徒会室に来てCatch Looksの話で内川君達と盛り上がってたから。私も仲間に入りたくて」
そうなのか
私も逆に加わりたい。
「隣の席だよね」胡桃に聞かれて
「だよ」と、返事。
「他に情報ないの?好きな女の子のタイプとか」
「知らないよそんなの!」
ムキになって答えてしまう。
「私の事、どんな感じに思ってるか聞いてみて。いい話してたら『付き合っちゃえば?』とか言っておいて」
胡桃と山村君が付き合う。
なぜか目の前が暗くなる。
視力落ちたかな。
「紅葉だけが頼りなの。お願いします」
胡桃は頭を深々と下げ
CD持って部屋を出て行った。
『一夜漬けファンがCatch Looksを語るな!』
穴掘って叫びたい気分。