さくら色した君が好き
くっつけてた机を離しながら
「そういえば加藤って、生徒会の加藤と双子なんだって?」
山村君はさりげなく私にそう言った。
いや
いまさらかいっ!
知らなかったんかい!
学校中が知ってると思ってたのに
やっぱ
つかめない男だな。
あ、でも
全然違うから気付かなくても無理ないか。
あ……チャンスだよこれ!
今
売り込まないで
いつ売り込む!
「そうだよ。可愛いでしょ」
さりげなーく言うと
「彼氏とかいるの?」って真剣に聞いてきた。
その時の私の心の中といえば
やったー上手くいくかも……が、7割
慎重にここから進もう……が、1割
あとの2割はなぜか泣きたい気分。
でも頑張ろう。
わざと明るい声を出し
「今はいないよ、よかったら紹介……」
「お前、来月のzepp行く?」
見事に声が重なった。