さくら色した君が好き
車の後ろの席で胡桃と並ぶ。
私達は同じ高校の2年生。
もちろんクラスは違う。
友達も違う。
胡桃は賢い友達が多い。
生徒会もやってるから
生徒会の先輩にも胡桃は人気者。
うちの学校の王子様である、生徒会長と並ぶとお似合い。
私は茶道クラブの幽霊部員。
優しくて元気で明るい友達が多くて、特に学校生活は問題はない。
私の学力がアヤシイだけ。
本当はランクを下げた高校へ行きたかったけど、胡桃がこっちに行きたいって言うからこっちにした。
仲良しの友達と離れたけど
すぐこっちでも友達はできたし。
『紅葉とずっと一緒がいいの。紅葉がいないと不安なの』って身体の弱い妹から言われたら
『よしっ!』って頑張ってしまった。
昔からこのパターンだけどね。
お母さんは単純に喜んでくれたけど
お父さんとは話し合いになったっけ
『それでいいのか?』って何度も何度も私に聞いた。
私はうなずいて
今に至る。
今に至る……カッコいいじゃん。
こんなカッコいい言葉をつかえるのに
なんで成績悪いんだろう。
うなりながら外の景色を見ると
緑ヶ丘公園の桜の樹が寒そうで悲しそう。
今朝
満開の桜をテレビで観たせいだろう。
あっちは桜吹雪でピンクの景色が綺麗なのに
こっちは雪の花が咲く。
あぁ北国って寂しい。