さくら色した君が好き

「胡桃は紅葉が大好きで、紅葉を独占したいんだ。大好きだから他の男の子と付き合ってほしくない。自分だけの紅葉でいてほしいだけ」

断言するお父さん。

そうなのかなぁ?

「胡桃は紅葉に甘えてるんだ。お父さんやお母さんより紅葉に甘えるのが大好き。誰にも渡したくないんじゃない?誰が見てもわかるけど」

軽く笑うお父さん。
お父さんの言葉に嘘はない。

「甘えてワガママばかり言ってるよね。今頃お母さんに怒られてるよ。帰ったらお父さんも説教だ。今回の事はやりすぎ」

「また熱出すから、怒らないでよね」

「はいはい」

そうやって考えたら
気持ちが少し楽になる。

なんだかんだで
私も胡桃が好きだから。

そんな時
LINEの音が鳴りスマホを開くと胡桃からだった。

「お父さん。胡桃からLINEが来たよ」

「へぇー何て書いてる?」

開くのがちょっと怖い。
お父さんが言った事は全部ウソで、本当は私の事が嫌いで怒ってたらどうしようって思ってしまって。

開けない。

タメ息してたら

「夜も綺麗だね」って
車の中からお父さんが、緑ヶ丘公園の桜を見てそう言った。

本当だ……綺麗。

夜桜だね。
たくさんの桜の樹が街灯に照らされてる。

夜の景色が
その部分だけピンクに染まってる。


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