さくら色した君が好き
「遠山さんが休みで寂しくなった」
もじもじと双子の妹がさりげなーくこっちに来ると
周りの視線が集中し
「ここ座んなよ」って近くの男子が照れながらイスを渡してくれた。
やっぱ格差。
こんな扱いされた事ないぞ私。
胡桃は「ありがとう」って微笑んで、プリンセスのように優雅に座る。
遠山さんとは
いつも胡桃とベッタリ仲良し女子。そうか休みか。他に友達いないのかな。
「邪魔だった?」
遠慮がちに胡桃が言うと、周りの友達は「ぜんぜん」「問題ない」って明るく答えてくれたけど
やっぱちょっと遠慮してる?
うちらのグループとジャンルが違うからなぁ。
同じ双子なんだけど。
それでも胡桃は普通に会話に加わり
どっちかっつーと
会話を引っ張り私達を楽しませる。
内容は我が家での私のおバカ行動とか、お母さんとのおバカな会話。
つまり
おバカな私をエサにして笑いをとってます。
胡桃が帰った後
友達は
「紅葉と違って可愛い」
「あんな賢くて可愛い双子の妹欲しい」
「顔ちっさい」
と、私の目の前で言い
私にケリを入れられるハメになるんだけどさ。
私も笑って「悪かったねー」って叫ぶけど
実はチャイムが鳴って
みんなが自分の席に着くと
なぜかタメ息をついてしまう。
そして
そのタメ息の先で
ひとりの男子と目が合った。