空って、こんなに青かったんだ。
ここ数日というもの、校長先生と教頭先生はもう毎日てんてこ舞い、地元の商店街の有志の人たちや学園のOB,OGからの問い合わせやら応援の助っ人の申し出やら、まさしく学園はじまって以来のオオゴトとなってほとんど寝る暇もなく、というか実際にほとんどネテイナイ。

甲子園に出る、ということがこれほどまでに学校を越えて地域や過去までをひっくるめる一大事とは、今まで出たことのない英誠学園はわからなかったのである。

早い話、出ると決まってからではオソイ、のだ。出れるのか出れないのか、ワカラナイ時点でもう準備をはじめなくてはマニアワナイ。

なのでバス会社との打ち合わせや宿舎の確保、出れるとなったアカツキの練習場のオネガイ、やることが多すぎてワカラナイ。

そしてさらにおまけ付きで、英誠学園の部活動で全国大会に出場したことのあるのはタダノヒトツモナイ。

だからまるでミケイケンだ。せめて野球部以外でもどこかが全国大会に出てれば多少はチガウ。
今日もアツい。四十度は越えるんじゃ?って感じだ。

だからふたりとも倒れるかも知れない、
いやいやホントウに。

でも、倒れてもイイんだ!と、校長先生も教頭先生も思っている。

「甲子園に出れるなら!」

タノム、野球部諸君!自分たちは倒れてもいいから英誠学園に甲子園初出場の栄誉を!

と、ふたりは声を枯らしながらスタンドで応援を送っていたのだった。
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